リポーター発

イギリス

英国・若者の紅茶離れ 寂しく

2017/6/13
英国で最も古い歴史がある食品専門デパートの紅茶専門コーナー。棚には超一級品がずらりと並ぶ

英国で最も古い歴史がある食品専門デパートの紅茶専門コーナー。棚には超一級品がずらりと並ぶ

 おそらく世界で一番紅茶が飲まれているのは英国ではないだろうか。ある程度大きい会社になると、「ティー・レディー」がいる。彼女の仕事は、午前は朝出勤をした直後と10時半の2回、午後は3時になると、社員に紅茶を配ることだ。
 その紅茶の99%がミルクティーである。先にミルクを入れ、その後に紅茶を足すスタイル。ミルクによく合う、いわゆる「English Breakfast Tea」が好まれているようだ。カップの中の茶の色にかなりこだわる人も多い。
 お茶の起源は諸説あるが原産は中国である。緑茶、黒茶、紅茶などさまざまな種類が楽しめるが、製法が違うだけ。植物学的にはカメリアシネシンスというツバキ科ツバキ属の常緑樹がそのもとである。
 英国ですっかり日常生活に溶け込んでいる紅茶文化。きっかけは、英国が東インド会社を設立した1600年にさかのぼる。中国からお茶の原木をインドに送り、それを紅茶用に改良した。英国人は香りの強いお茶を好んだので、だんだんと、インド各地に原木を植えて改良を重ねていった。そうしてアッサムなどいろいろな銘柄が誕生したわけだ。
 今では紅茶=英国というイメージが定着しているが、紅茶を飲む習慣を英国に持ち込んだのは17世紀、チャールズ2世と結婚をしたポルトガル人のキャサリン・オブ・ブラガンザである。祖国を離れた彼女は英国に知り合いがまったくいないこともあって、友人をつくろうと頻繁にお茶会を開いた。紅茶を飲む習慣が英国の上流社会に根付いたのは彼女の功労による。そうして生まれたのが有名なアフタヌーン・ティーである。
 面白い逸話があるので紹介しよう。1869年に建造されたカティー・サーク号は中国などから紅茶などを専門に輸送していた快速帆船である。ある時、船内で反乱が起き、荷物が海に捨てられた。回収し、ロンドンに着いて開けてみたら海水に染みたお茶が発酵して紅茶になったという話。現代でも、多くの英国人がこの出来事が本当にあったと信じている。真実はいかに?
 紅茶の本場、英国ではあるが、近年は若者の紅茶離れが激しいそうだ。30年前はロンドン市内の大きな通りには必ずあったティー・ルームが今ではほとんど姿を消した。代わりにコーヒーショップが店を構えている。時代の流れとはいえ、少々寂しさを感じる。(渋谷英秋=ロンドン在住)

この記事に対するコメント
一覧

  • コメントはありません

  • この記事にコメントするへ
  • 前の記事へ
  • 次の記事へ

 あなたにおすすめの記事

記事一覧