リポーター発

トルコ

トルコ・水牛乳製品 濃厚柔らか

2017/6/13
ナツシロギクが咲く沼地で水浴びをする水牛

ナツシロギクが咲く沼地で水浴びをする水牛

 黒海地方沿岸のちょうど真ん中に位置するサムスン県バフラ市に立ち寄った。そこで知り合った実業家ハミットさんに、町を案内してもらった。一般的に黒海地方は平野が少ないため、海からすぐ山となるが、バフラは、川が下流に運んできた土が堆積してできたデルタ地帯にある。
 デルタは農業地として利用され、多くの野鳥がすむ楽園としても知られる。毎年多くのコウノトリが巣作りのため飛来してくるそうだ。私が訪れた4月下旬、デルタの湿地帯ですてきな光景を目にした。それは一面にパパトヤ(ナツシロギク)が咲き誇り、水牛が気持ち良さそうに水浴びをしている様子だった。頭だけ出している時はかわいらしくさえ映る。本当に感動的だった。
 水牛は体温調節のために、沼地や湖の中を好んで入る習性があるという。また、水中の草を食べることで沼地の乾燥を防ぎ、足跡に魚たちが巣を作ることで、バフラの豊かな生態系を保つのに一役かっているそうだ。
 この水牛の乳からおいしいヨーグルトやバターが作れるほか、カイマックも取れるそうだ。カイマックとは、乳を沸騰させてから冷ました後、上部にたまる乳脂肪分。日本でもクロテッドクリームとして売られており、パンに塗り、蜂蜜を垂らして食べると絶品だ。バフラでは、このカイマックを使った料理ロクムが有名だそう。早速、郷土料理を提供しているザルパという店を訪れ、調理の様子を見学させてもらった。
 そもそもロクムは、トルコの甘いお菓子を象徴する一品でトルコ全土で広く売られている。英語名を「Turkish Delight」と言い、トルコ人の喜びを意味する。アラビア語が語源で、喉の満足という意味。サイコロ状のものが一般的だが、ここのものは少し形が違うようだ。
 まず砂糖、水で煮詰めたものにコーンスターチとレモンの粉を加える。粘り気のあるわらび餅のような生地を作り、冷ました後、麺棒で延ばす。その上に水牛の乳から取ったカイマックを置いて巻き、継ぎ目を合わせる。これを長く延ばして、輪切りにしてから提供する
 指でつまむと落ちそうなほど、柔らかく、日本の求肥(ぎゅうひ)に近い。一般的なロクムのようにかみ応えや弾力性はなく、口に入れると、あっという間に溶けてしまう。濃厚でクリーミーなカイマックが生地の甘さを和らげる。気が付いたら、5切れも食べてしまった。トルコのお菓子の甘さは喉に残るものだがそれもない。
 バフラではこの店を含め、数軒でしかロクムを作っていないそうだ。店主のフェルダさんは「カイマックは日持ちしないが、保存料を入れないのがポリシー。さらに少量生産だが、品質にはこだわっている」と胸を張った。ロクムの奥深さを感じるとともに、これからも、このこだわりを持ち続けてほしいと願った。(岡崎伸也=コンヤ在住)

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