リポーター発

トルコ

トルコ・クルミ多用の故郷の味

2017/7/26
アクトゥ・スズバルを作るハティジェさん 

アクトゥ・スズバルを作るハティジェさん 

 黒海地方にあるデュズジェ県を訪れた。隣県のサカルヤ県と同じく、黒海とカスピ海に挟まれたコーカサス地方から移民してきたアブハズ人と呼ばれる人たちが多く住む。彼らの故郷、アブハジアは、トルコの隣国で旧ソ連領だったジョージア(グルジア)の北西部にある自治共和国だったが、現在は事実上独立を宣言している場所だ。
 今回、デュズジェ県の中心地から南東部へバスで約20分、さらにタクシーで10分のサズ村へ向かった。アブハズ人のテキル家が経営するペンションを目指す。100年を超す古民家での宿泊と朝夕の食事付き。アブハジア料理が堪能できると聞き、期待が高まる。
 到着すると、きれいに手入れされた庭が出迎えてくれた。馬やニワトリ、ガチョウ、ネコが飼われており、イチゴやトウモロコシ、クルミ、クリなども植えられていた。エラーヌルさんとハティジェさん姉妹が切り盛りする。ロシア帝国のコーカサス地方への南下政策の影響で、1864年ごろ、祖父の祖父がアブハジアからこの地に移住したそうだ。
 10年前、家族が生まれ育ったこの家と庭をどうにか活用できないかと考え、ペンション経営を始めたという。祖父がお客を家に招いているのを小さい頃から見ていたので家業にしても違和感はなかったそうだ。県外だけでなく、海外からもお客さんが来るようになり、存在の重要性をあらためて感じているそうである。次世代にアブハズの文化をどのように継承するかが今後の課題という。
 ハティジェさんが夕食にアブハズの代表的な料理を用意するというので、調理法や独特なスパイスの使い方などを教わった。トウモロコシの粉を熱湯で練ったマムルサという食べ物は主食として食卓の真ん中に置かれる。これは北部のコーカサス地方と似ている。
 一方どんな料理にもクルミやクルミ油を多用する点はジョージアに似ている。鶏肉をゆでて肉を裂き、鳥のだしとクルミで作ったペーストに絡めるアクトゥ・スズバルは有名だ。アッツブラと呼ばれるセイボリーは、アブハズ・チーズをおろして、これと混ぜ、小麦の生地に具として詰めて、水ギョーザにしたり、揚げパンにしたりする。
 また、アジカは、赤唐辛子にニンニク、塩、セイボリー、バジル、コリアンダーパウダーが入った調味料で、日本のみそやしょうゆのような存在。いろいろな料理を味付けるためになくてはならない一品だ。
 保存食の文化も似ている。漬物、缶詰のほか、薫製文化が挙げられる。肉やチーズを各家庭の暖炉につるして作る、まさにホームメードである。今回、奥深い山中ののどかなペンションで、アブハズの歴史を聞きながら、数々の珍しい食事をいただいた。忘れ得ぬ貴重な体験となった。(岡崎伸也=コンヤ在住)

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