リポーター発

ドイツ

ドイツ・学校袋と新入生 風物詩

2017/8/2
幼稚園でシュール・トゥーテを作る親子

幼稚園でシュール・トゥーテを作る親子

 私が暮らすドイツでは9月から新学期が始まる。そして、この時季になると、町中のスーパーや文房具屋などで、長さ60センチほどのカラフルな円すい状の紙筒が出回る。シュール・トゥーテ(学校袋)と呼ばれるものだ。
 大きなランドセルを背負い、長さが体の半分はあろうかというこの学校袋を抱えて登校する新1年生の姿は、ドイツの入学式の風物詩と言ってもよいだろう。初めて小学校へ登校する子どもが緊張しないようにと、親がその中に甘いお菓子を入れて持たせたのが始まりだそう。今では、学校で必要な文房具や、ちょっとしたプレゼントなども入れるようである。
 この学校袋は、既製品やあらかじめお菓子が詰まったセットとしても販売されているが、多くの親は無地のものを購入し、子どもと一緒に手作りする。いろいろな形に切り抜いた厚紙や布を貼り付けたり、スパンコールやリボンなどで飾ったりして、オリジナリティーを出すのだ。
 9月に新1年生となる6歳の長男が通う幼稚園でも先日、親子が参加して袋作りがあった。あらかじめ、園児が好きな色を選び、先生が無地の紙を用意してくれていた。水色を選んだ長男は「レースカーを貼り付けたい」とやる気満々だ。
 飾り道具一式は、幼稚園にあると聞いていたので、手ぶらで行ったのだが、ほとんどの親が追加の飾りや子どもの好きなモチーフの型紙を準備しているではないか。少々慌てた私だが事務室のパソコンで型紙を印刷させてもらい、事なきを得た。兄弟姉妹がいて作業経験がある親は持参した豪華な飾りを手慣れた様子で貼り付けていた。
 ドイツ人がこれだけの情熱とエネルギーを注ぐとは正直、思いもしなかった。日本のような卒園式がないドイツの幼稚園では、PTAが中心となって企画する、今回のような卒園行事が大きな意味を持つのだろう。きっと親子ともども、よい思い出として一生、記憶に残るのだろう。
 楽しかった幼稚園生活もあと数週間で終わり、これから長い夏休みが始まる。9月半ばには、今回親子で作ったシュール・トゥーテにあふれんばかりのお菓子を詰めて、子どもたちは入学式へ出席する。彼らに幸多からんことを。不安と緊張を少しでも和らげてくれることを心から願っている。(宮武加苗=シュツットガルト在住)

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