リポーター発

トルコ

トルコ・ヤギの蒸し焼き 旬の味

2017/8/17
鎖につるしたビュリヤンを売る店員

鎖につるしたビュリヤンを売る店員

 トルコ東部のビトリスの市場を歩いている時、処理されたヤギが大量につるされているのを見た。ここの名物「ビュリヤン」というヤギの蒸し焼きである。
 精肉店の店主に話を聞いた。ヤギは岩や山を駆け上がり、木にも登れるので筋肉が発達しているそう。「自分の好きな食べ物にありつける動物の肉だからこそ、おいしいのだ」と教えてくれた。中でも去勢した雄のヤギが美味という。
 ここ東部地域は岩山が多く、ヒツジよりヤギを飼育するのに適している。ヤギ肉は彼らが緑の草を食べる夏から秋にかけてが旬である。高原に生えるおいしい野生の草、タイムを食べるので、その香りが肉にまで移るそうである。
 翌日、ビュリヤン専門店へ行き、取材を始めた。この料理はクユ(井戸)という側面をれんがで敷き詰めた深い穴を使うのが特徴である。穴の深さは2メートル以上あり、その中でナラやカシの木を燃やして内部が高温になるまで熱する。
 熱せられたれんがの表面が白くなり、まきが炭のようになったらヤギ肉の投入だ。骨のない部位は表面にしっかり岩塩を擦り込み、鎖でつって丸ごと蒸し焼きにする。クユの底には水を入れたタライがある。子ヤギの骨付きの部位をその中に置いて煮るためである。
 上部の穴は鉄板でふたをして土をかけて覆う。蒸気が広いクユに満たされた巨大なスチームオーブンの中で、3時間程で絶妙な焼き色に仕上がる。ザクロのように赤く焼き上がったという言い回しがあるほどだ。
 出来上がったものは早速、店頭に鎖でつるされる。これはお客さんが目の前で好みの部位を注文できるようにするため。100グラムが1人前。骨付きは250グラムと決まっており、はかりで量ってから提供する。脂分や赤身、そのミックスなど、お客さんのこだわりに対応する細かさだ。
 店員がすばやく目利きして、ナイフを使って慣れた手つきで切っていく。量り終わったものは、ピザパンの上に乗せ、一度ピザ窯の中で数十秒温めてから提供する。ピザパンをちぎりながら肉を挟み、添えられた玉ねぎをアクセントに食べる。予想に反して臭みは少なく、塩が肉のうまみを引き出していた。
 そしてお店で出される朝メニューのスープ「アヴショル」も有名。塩の水という意味で、一番の特徴はヤギをクユで焼いた際、つるした肉からタライに滴る油を使うことである。別の鍋で骨付きのスープを作っておき、その上に、このうまみ成分の油を流し込んで完成させる一品だ。朝早くから、これを目当てにやって来るお客も多い。
 みんなパンをちぎって、スープにしっかり浸しながら、実においしそうに食べていた。高カロリーな上に腹もちもよいメニュー。専門店ならではのこだわりは、しっかりとお客さんに伝わっていた。(岡崎伸也=コンヤ在住)

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