リポーター発

トルコ

トルコ 乾燥野菜 夏の町を彩る

2017/8/29
乾燥野菜を作るためナスの中身をくりぬく女性たち。最盛期には家族、親戚で作業を助け合う

乾燥野菜を作るためナスの中身をくりぬく女性たち。最盛期には家族、親戚で作業を助け合う

 8月中旬、トルコの南東部ガズィアンテプを訪れたときのこと。現地の人が「空港から市内へ向かうバスの中で、お客さんが『色鮮やかなあれは何なの』と声を上げるものがあるんだよ」と話し掛けてきた。それはオウズエリという町を見下ろす丘の斜面にあるそうで、一帯につるされたたくさんの乾燥野菜らしい。早速、その町を訪れた。
 トルコでは自分の畑や庭で作った夏野菜を食べきれないとき、ひもに通して、軒下やバルコニーで乾燥させる。そうした様子は何度も見たことがあるが、今回聞いた、みんなが驚くそこまでの規模の光景はお目にかかったことがない。
 乾燥させるのは、アジュル、ハイラン・カバウというウリの種類やピーマン、ナスなど。一般的にトルコは温暖な地中海性気候に属し、暑く乾燥した夏の時期が長い。短い秋を過ぎると、雨が多い冬となるので、夏に大量にできる夏野菜を乾燥させて保存食にしておく。食べる際は、乾燥野菜を水で戻し、米や肉を詰める料理ドルマにしていただく。トルコを象徴する食文化である。
 ナスは半分に切り、中をくりぬいてひもに通す。1本のひもに50個が目安。それをいくつも作る。ある家庭ではナスだけで最低10万個を作るそうだ。そして、太陽光をたっぷり浴びることができる丘に作られたチャトゥ(屋根)と呼ばれる櫓(やぐら)にかけていく。3日ほどで乾燥する。
 野菜の中でもピーマンは完成までの日数を一番要する。緑色の状態で収穫し、中の種を取ってひもに通すのだが、乾燥して真っ赤になるまで1週間ほどかかるためだ。遠くから目立ち、街を鮮やかにしていた赤い色の正体はこのピーマンだった。太陽をさんさんと浴びて完全に乾燥すると、丘から吹き下ろす風に揺られてぶつかり合う。カラカラと音を立てるのはとても愛らしい。
 オウズエリでは乾燥野菜は主要産業として位置付けられる。乾燥野菜の分野では、国内需要の80%近くを供給する。欧州などの国外にも輸出する大生産地なのだ。会社経営する人もいれば、公務員の副業として栽培する人もいる。
 また、実際に町を歩いていると、玄関先で家族総出になって作業をしている様子を何度も見た。家内工業なのだろう、5歳ぐらいの女の子が野菜を上手にくりぬくさまにはびっくりした。聞くと、専業主婦が時間つぶしに、そして稼ぐという意味でも、とてもいい仕事なのだとか。ある女性は「私たちが稼ぐのだから、このお金は旦那には渡さないわ」と笑った。
 作業は6月中旬から9月中旬までの3カ月間続き、町は乾燥野菜に彩られる。最盛期には丘の斜面は色とりどりの野菜でいっぱいになり、われわれの目を楽しませてくれる。この土地ならではの風物詩が見られたことをうれしく思った。(岡崎伸也=コンヤ在住)

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