リポーター発

イギリス

英国・8月末の祭り 民族超え

2017/9/15
カーニバルに参加したダンサーたち。パレードの終了後も陽気に踊ってみんなを楽しませる 

カーニバルに参加したダンサーたち。パレードの終了後も陽気に踊ってみんなを楽しませる 

 私が暮らす英国では、年間の祝日は8日しかない。ニューイヤー(1月1日)とイースターの2日間、クリスマス(12月25日)と翌日のボクシングデーが名前の付いている祝日。あとは5月に2回と8月に1回のバンクホリデーである。
 ということは、8月のバンクホリデーが終わると、クリスマスまでは祝日がないわけである。ちなみに、バンホリデーは最後の週末土曜、日曜、そして月曜が当てられ、3連休となる。そしてこの3日間、夏の最後を謳歌(おうか)する大イベントが毎年ロンドンで開かれる。
 日本では余り知られていないかもしれないが、「ノッティングヒル・カーニバル」がそれである。ブラジル・リオのカーニバルに次いで世界で2番目に大きい祭りといわれる。今年は8月25日から27日にかけて開催され、国内外のたくさんの人出でにぎわった。
 このイベントは1950年代、旧英国領だったカリブ海に浮かぶ西インド諸島のトリニダード・トバゴから移民としてやって来た人たちが始めた。正式に始まったのは66年のことで、イベントを通して人々がお互いを知り、根強く残っていた人種差別を撤廃することが目的だったそうだ。
 実際にその当時、人種差別が原因で大規模な暴動がノッティングヒルで起きていた。移民が多く暮らすこの地区のイメージアップを図る狙いもあったらしい。当初の参加者は、音楽バンド二つとダンサー500人程度だったが、年々増え続け、10年後には観客も合わせると15万人を超える規模になっていた。
 現在では、毎年、世界中から100万人以上が集まる一大イベントに。人種、国籍を問わず、参集した老若男女が多文化、多民族のロンドンを体感するカーニバルとなっている。会場はものすごい混雑となるので、たくさんの警察官が警備に動員されている。これもかなりの規模である。
 すりなどの盗難も多いらしく、彼らは「所持品を手から離さないように」と大声で呼び掛ける。会場のあちこちで、恐らく大麻と思われるにおいがするのだが、取り締まることはない。祭りといえども、日本ではまずありえないだろう。
 パレードは迫力満点で圧巻の一言に尽きる。参加者の9割を黒人女性が占め、躍動感あふれる踊りは見る者を魅了する。また彼女たちの衣装は、こちらが照れるほど情熱的だ。ことしの祭りは事故などなく、大盛況のうちに終わった。ロンドンの夏もこうして終わりを告げる。(渋谷英秋=ロンドン在住)

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