リポーター発

イギリス

英国・国際的な結社 長い歴史

2017/10/23
ロンドン市内にあるフリーメイソン・ハウス。内部を見学するツアーも定期開催され人気を集める 

ロンドン市内にあるフリーメイソン・ハウス。内部を見学するツアーも定期開催され人気を集める 

 私はロンドンに40年近く住んでいる。英国には、国際的な秘密結社フリーメイソンの事実上の総本山があるのだが、私は10年ほど前まで結社の存在すら知らなかった。興味を持ったのは、2006年にトム・ハンクスの主演で公開された映画「ダ・ヴィンチ・コード」を見たのがきっかけだった。
 劇中でその名が何度も登場し、怪しい秘密結社のイメージがつきまとうが、フィクションの要素が強いそうだ。ということで、その歴史をひもといてみた。
 諸説あるようだが、16世紀ごろの中世に設立され、当初は石工の職人組合だった。その名残だろうか、シンボルマークは石工が使うコンパスと定規のデザイン。コンパスは友情や道徳、兄弟愛を、定規は誠実や公平、美徳を表している。
 中央にある「G」は、God(神)The Grand Architect of Universe(宇宙の偉大な創造者)などを意味する。組合は年月を経るうちに、王侯貴族も参加する一種の「ジェントルマン・クラブ」となった。社交の場だけでなく、情報交換の舞台にも変化していったらしい。
 英国でグラウンド・ロッジ(本部)が形成されたのは1717年のこと。四つのロッジ(支部)が母体となり、本格的な組織として産声を上げてから、ことしで300年。総本山であるユナイテッド・グラウンド・オブ・イングランド(UGLE)の棟梁(とうりょう)(グラウンド・マスター)には、1967年からケント公が就く。そう英国王室ともつながりが深い組織なのである。
 今では、欧米や日本などにも国際的なネットワークを張り巡らす。慈善活動をメインに、世界中のチャリティー活動の多くに参画する。ただし、特定の宗教や政治団体を支持することはなく、中立の立場を貫く。かつて数百万いた会員は減少傾向にあるらしいが、直接勧誘を禁止しているのも影響していると思う。
 また、英国カトリック協会は現在もフリーメイソンを認めていない。1738年、ローマ法王クレメンス12世はフリーメイソンに加わったカトリック教徒は破門すると宣言した。全ての宗教に寛容な姿勢や秘密主義が異端視されたようだ。
 入会条件は国や地域によって異なるが、UGLEは21歳以上の成年男子であれば人種や宗教、経済状態、政治見解は問わないとする。とは言いながら、信仰心は必須。世間で評判がよく、高い道徳性があり、定職と一定の収入が必要とされているのが実情だ。
 もともと石工の組合だったためか、女性は現在も入会できない。代々の英国王室のメンバーが入会しているが、エリザベス女王ですら会員になれない。われわれ、日本人にはなかなか理解できない団体であることは間違いないようだ。(渋谷英秋=ロンドン在住)

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