リポーター発

トルコ

トルコ・干し肉 昔ながらの製法

2017/12/11
注文に応じてパストゥルマの肉をスライスするアリさん 

注文に応じてパストゥルマの肉をスライスするアリさん 

 トルコ西部地方のカスタモヌ県にやって来た。黒海に面した県なのだが、中心部は内陸にある。そこを歩いていると、牛肉で作った干し肉を売る店を何軒か目にした。店内にはパストゥルマと呼ばれる生ハムのようなものや、スジュックというサラミがずらりとつるされていた。
 そのうちの一軒にお邪魔して、店主のアリさんから話を聞いた。干し肉は中央アジアの遊牧民が移動や戦いに出る際、馬にぶら下げる袋に入れていたもの。馬体に押し付ける中で水分を抜き、長期間食べられるよう乾燥させていたのが原型らしい。
 一頭の牛は、35%ほどをパストゥルマに、45%はミンチ、残りは骨にしてスジュックにと無駄なく利用する。パストゥルマは手がかかる一品で、背中やヒレ、モモの肉に塩をすり込み、寝かした後で一度洗い、天日干しする。にんにくや赤唐辛子などでコーティングするものは塗った後、2、3日乾燥させる。
 初めて知ったが、ここはカイセリ県に次ぐパストゥルマの生産地。スィワス県を含め国内三大産地だそう。内陸部の乾燥した気候も干し肉を作るのに適していると納得。10月から11月は日中と夜の寒暖差が少なく、パストゥルマを乾燥させるのによいのだそうだ。
 アリさんいわく、「工場で生産したり、食材に保存料を加えたりせずに、自然食材と天日干しの製法で作っている。乾燥期間が1カ月ほど必要だが、待たせた分、その味は保証するよ」。スライスするのに機械は使わず「職人技で薄く切るので食感がとても軟らかいんだ」と胸を張る。
 カスタモヌでの食べ方を尋ねると、「パストゥルマル・エキメッキ」という答えが返ってきた。同時にアリさんは、パストゥルマ1人前(100グラム)をナイフで薄く切り、そこにみじん切りの玉ネギとクミン、黒こしょう、赤唐辛子を合わせたミックススパイスを加えて混ぜ合わせてくれた。「近くのパン屋に持っていけ」と私に言った。
 パン屋に行って、薄く広げた小麦の丸い生地の上に半分載せる。生地で挟んで窯で焼いてもらうわけだ。食べると、少し塩辛く感じたが、生地はカリカリ。生ハムのお焼きみたいでおいしかった。パストゥルマはそのまま食べてもよいし、卵とじや、ピザの具にも使う。トルコの国民食である白インゲン豆の煮込みに、こくやうまみを足すためにもよく使われる。
 全国区のカイセリのパストゥルマに押されがちだが、ナンバーワンでないからこそ、カスタモヌ県独自の味付けにこだわる昔ながらの製法が受け継がれているのだと感じた。リング状の地元のパンと一緒に食べる方法も勧められたので、翌朝、カスタモヌ城へ登り、街を一望しながら朝食にした。格別の味だった。(コンヤ在住=岡崎伸也)

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