リポーター発

トルコ

トルコ・魚スープ 優しい味わい

2018/2/2
スープにする前にイスコルピットを見せてくれる食堂の店主

スープにする前にイスコルピットを見せてくれる食堂の店主

 北に黒海、西にエーゲ海、南に地中海と三方を海に囲まれているトルコ。旅をするときの楽しみが魚スープだ。しかし、トルコの料理でスープの種類は数多かれど、魚のスープはメジャーではない。
 内陸部に行くとほとんど出合うことがないが、沿岸地域ではお目にかかる機会が断然多くなる。ただ、あくまで家庭料理の位置付け。どの食堂やレストランにもあるわけではないので、見つけたら必ず立ち寄ることにしている。特にエーゲ海地方では、お店で出される家庭料理として有名でその地方に行くと食べる前から気持ちが高ぶる。
 スープに使われる魚は、一年中、安定して手に入るスズキや赤ダイ、サーモン、サバが多い。そして鮮魚店の従業員が「スープにすると絶品だよ」と口をそろえるのが、クルラングチ(ホウボウ)とイスコルピット(カサゴ種)である。
 これらは地中海地方では高級魚であり、フランス料理のブイヤベースやイタリア料理のアクアパッツァとして食べるのにも適している。食堂などに卸された時だけ提供されるので時期やタイミングが合わないと食べられない。思い返すと、エーゲ海地方のイズミル県チェシュメで食べたイスコルピットのスープが今でも忘れられない。
 一般的な魚スープの作り方を説明すると―。大鍋に内臓を取り出した魚を骨ごと入れ、臭みを取るためにセロリ、黒コショウ、ローリエ、レモンなどといっしょに煮る。うま味をしっかり出し、こしてだし汁を取る。
 魚の身は骨から丁寧に外して別に取っておく。鍋に油を加え、みじん切りの玉ネギ、刻んだニンジン、サイコロ状に切ったジャガイモ、ニンニクと一緒に炒め、しんなりしたら小麦粉を少量加える。そこへだし汁を加え、ほんのりとろみがついたら、ほぐした魚の身と塩を加える。刻んだイタリアンパセリかディルを散らして完成だ。
 トルコ人は中央アジアからやって来た遊牧の民なので肉や粉もの料理が得意。エーゲ海や地中海などの沿岸にもともと住んでいたギリシャ人から多くの影響を受けており、トルコ語の多くの魚名がギリシャ語に由来することからも分かる。
 トルコでは、魚の調理法は、焼く、揚げるという食べ方が多いが、これらばかりだと少々飽きてくる。そういうときに魚から出るだしが効いたスープは格別だ。日本人の私には特別な一品に感じるし、魚のうま味が出た汁を飲むと、やはり心の底からほっとする。
 日本のすまし汁やみそのあら汁のような味付けではないし、スパイスが際立っているわけでもないがどこか優しい味である。臭みがなく素材の魚のうま味が出たスープを頂くといつも胃も心も癒やされる。「魚は見た目が悪いほどおいしいものが多い」と日本でいわれるが、共感できる味覚がトルコにもあることをうれしく思った。(岡崎伸也=コンヤ在住)

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