リポーター発

ドイツ

平和の願い バッハの旋律に乗せて    中田千穂子

2013/8/20

 ドイツ・ベルリンの「ヒロシマ通り」にある駐ドイツ日本国大使館で8月6日、第5回「平和のためのコンサート」が開催された。主に各国の外交団やドイツ人関係者約150人が参列。広島・長崎の原爆犠牲者を悼み、世界平和を祈念しました。

 最初に元外相として東西ドイツ統一に大きく貢献し、現在は核軍縮に努力しているハンス=ディートリッヒ・ゲンシャー氏(86)の講演がありました。その中でゲンシャー氏は「人類を原爆による死の恐怖から解放するにはグロバール・ゼロの解決しかあり得ない。米露が率先して非核化プログラムを実行することが重要だ」と述べました。

元外相のゲンシャー氏

元外相のゲンシャー氏

 ゲンシャー氏は直接原発のテーマには触れませんでしたが「核を持たないドイツと、被爆国日本は、核のない世界へ向けた代弁者としての正当性と責任がある。核廃絶を含めわれわれが負う責任は、われわれの行為と不行為の将来への影響に注意を払うということである」と結び、参列者たちから熱い拍手を送られました。

 ことしのコンサートではベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団と読売日本交響楽団のコンサートマスターを兼任し、オーケストラ、室内楽、ソロと活発な活動を展開しているベルリン在住の日下紗矢子(くさか・さやこ)さんたちの演奏で古楽器による室内楽を楽しむ事ができました。

古楽器で楽しむ室内楽コンサート

古楽器で楽しむ室内楽コンサート

 プログラムの最初と最後に、バロック時代の巨匠H・ビーバーが対位法的表現を試みた「聖母マリアの被昇天」と「描写的なソナタ」を、バイオリン(日下)、チェンバロ(クリスチーネ・ケスラー)、リュート(ハンス・ウエルナー・アペル)で演奏し喝采を浴びていました。

 圧巻だったのは、日下さんが1822年の楽器プレッセンダに持ち替えて演奏した、後期バロック時代のJ.S.バッハの無伴奏バイオリンのための「シャコンヌ」でした。上声を連続的に変奏する壮大なこの曲の日下さんの表現力豊かな演奏に客席からブラボーの声が上がりました。

 そして、不条理の世界に宇宙的秩序があることを知らしめす偉大なバッハの音楽に大いに勇気づけられたのでした。 (ベルリン在住)

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