リポーター発

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米国・警察の活動 市民が学ぶ

2018/9/18
攻撃訓練の実技を披露する警察犬

攻撃訓練の実技を披露する警察犬

 私たちが暮らす町の目抜き通りからほど近い所に、ヨーロッパ調の赤れんがの建物がある。ここで先日、修了書授与のセレモニーがあり、家族で訪れた。夫が参加していた「ポリスアカデミー」を締めくくるイベントだ。
 ポリスアカデミーとは、本業として警察官になるためではない。町の警察がどのような活動をしているのかを一般市民にアピールする無料プログラムだ。週1回、夕方の2時間、希望者が集まり、現役警察官の指導の下、活動の理解を深める。全10週の課程を修めたら無事修了となる。
 内容は多岐にわたる。留置場を含む警察署内の見学から始まり、ある日は飲酒運転やスピード違反に関する罰則を学ぶ法律講座。またある日は現役裁判官による模擬裁判。別の日には逮捕のシミュレーションが行われ、テレビドラマさながらの迫力だった。
 ガソリンスタンドへの強盗という設定で、犯人役と店主役を務めるのは現役の警察官。拳銃を店主に向けながら暴言を吐く興奮状態の犯人を、どのように取り締まるかを実演した。銃を持って犯罪を制す。個人的な違和感はさておき、銃所持が法的に認められている米国では至極当然のことなのかもしれない。
 プログラムには家族も参加できる回も設けられている。警察犬が登場する日は子どもと一緒に屋外講習を受けた。通称K―9(ケイ・ナイン)と呼ばれる警察犬。そのほとんどがジャーマンシェパードで、優れた嗅覚が薬物や武器弾薬の探知に利用されると聞いた。容疑者役の警察官に攻撃する実技披露もあり、歓声が上がった。見た目は愛らしくとも、立派に職務を果たす警察の一員なのだ。
 修了式では、これまでの内容を振り返るとともに、立派な額縁に入った修了書が一人一人に手渡された。署長との握手、記念撮影を済ませると、市長からあいさつがあった。「この修了書を手にしても刑務所に行かなくていいというわけではありません」。冗談を言った後、「ポリスアカデミーには犯罪抑止力の意味合いもある。より多くの市民がプログラムに参加することで、規範が保たれた安全なコミュニティーをつくる。それが目標だ」と語った。
 ポリスアカデミー以外にも「Ride‐along(ライド・アロング)」と呼ばれる市民用のプログラムがある。警察車両や救急車、消防車などに同乗し、一日の活動ぶりを見学できる。
 平穏無事な暮らしは誰もが求めるものだろう。ここロチェスターは昨年、「安全な町 全米トップ100」にミシガン州から唯一ランクインした。ポリスアカデミーが地域の秩序づくりに効果を発揮しているのかもしれない。(プーセンプ麻衣=ロチェスター在住)

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