リポーター発

トルコ

トルコ・ドルマ 結婚式彩る料理

2018/10/22
味付けしたお米を手際よくナスに詰めていく婦人たち

味付けしたお米を手際よくナスに詰めていく婦人たち

 エーゲ海地方のデニズリ県の北西部に位置し、デニズリの中心から車で1時間半ほど行ったブルダンという町を8月に訪れた。町を散策していると、食料店の軒先に乾燥させたナスが数多くぶら下げてある。ピーマンやトマト、唐辛子もあるが、群を抜いてナスが多い。早速店主に尋ねてみると、ナスの栽培が多いのだという。
 雨量が少ない夏の時期、大量のナスができると、天日干しして乾燥させ、保存食を作る。薄く切るやり方もあるが、ほとんどは外の皮だけ残して、中は全てくりぬくのが一般的だ。それにひもを通して乾燥させる。これが、くりぬいたナスにスパイシーなお米を詰めて炊き込む「ドルマ」(詰めるという意味)を作るもとになる。
 使うのはナスをはじめ、ピーマン、トマト、ズッキーニなど多岐にわたる。生でも乾物でも良い。具にひき肉を入れる場合は温かく、入れない場合はオリーブオイルやハーブなどを入れて冷菜として食べる。ドルマは日常でもよく食べられる国民食でもあるが、ここブルダンでは、人々が多く集まる結婚式や割礼式によく作られる一品らしい。
 散策中に知り合った人が、結婚式のケータリングをしているという。明日の結婚式用にドルマを作るというので見せてもらうことになった。やっぱりナスだった。
 50個ほどが1束になった乾燥ナスを1回ゆでて、水に戻した後、水切りしておく。別に米も数回洗い、1時間ほど水に浸し、ざるにあげる。それにオリーブオイル、黒こしょう、赤唐辛子、塩、パセリ、あらかじめ炒めておいた羊のひき肉、トマトペーストを加えて、しっかりと混ぜ合わせて具を作る。
 具をナスに詰める作業になると、親戚や近所の婦人たちが一堂に集まってきた。1メートルもある大きなたらいを囲むように座り、一斉に詰め始めた。一方で、詰めたものを大きな調理用のたらいに隙間なくきれいに並べる。たらいごとに250個ほど。それが7枚。軽く1500個を超えた。約2時間の仕事だった。
 翌日、披露宴が始まる前、トマトベースのスープを足して炊き上げること、40分。結婚式の参列者が次々と姿を現すと、この地域の名物ケシケキ(麦かゆ)に加えて、1人2個ぐらいの計算で皿に盛ってテーブルに出される。
 婦人たちに聞くと、「多くの料理を作る際には、生の物よりも、乾燥させているものが使い勝手がいいのよ」「あらかじめ、くりぬいてあるし、米を詰めるだけでいいからね」「保存食として大量に売られているから、年中安定に作れるわ」「天日で干して乾燥させた方がおいしいのよ」…。
 トルコの披露宴は招待客も多いし、多くの人に祝ってもらえた方がいいので、突然の訪問者も大歓迎。大量にでき、かつ安定した料理としてドルマは理にかなっている。ナスが名産のブルダンでは、ナスのドルマが結婚式の代名詞でもある。独身の若者には、「いつドルマを食べられるの?」という言い回しがあるのも興味深い。トルコにはまだまだ料理がライフイベントに密着しているのを感じる。(岡崎伸也=コンヤ在住)

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