リポーター発

インドネシア

インドネシア・日本語指導 アニメ題材

2019/1/29
「ドラえもんが好きなのは、どら焼きです。ドラえもんは、かわいいです」などと説明する高1の女子

「ドラえもんが好きなのは、どら焼きです。ドラえもんは、かわいいです」などと説明する高1の女子

 北緯1度30分。インドネシア・マナドは、赤道に近い海辺の街だ。雨期に入って涼しくなったとはいえ、1月で気温は30度。スラウェシ島最北端で、ジャカルタからは北東へ2200キロほど。イスラム教徒が9割という国にあって、逆にキリスト教徒が7割を占めている。イスラム教では厳禁とされる酒や豚肉も大丈夫、というマナドで、「日本語パートナーズ」として高校生への日本語指導アシスタントや文化紹介といった活動を続けている。
 外務省や国際交流基金が推進するプログラム。東南アジアなどの国々で、高校生たちの日本理解の手助けをするとともに、自らも当地の文化を学び、伝えていこうという相互交流の懸け橋、それが「パートナーズ」というわけだ。インドネシアでの日本語学習者は75万人と、中国の95万人に次いで世界2位。高校生は選択科目だが、アニメやコスプレの影響もあって、日本語熱は依然高い。
 活動の一端を紹介したい。
 日本語を習い始めて、まだ4カ月という高校1年生の授業で、「やさしい」とか「かっこいい」といった形容詞を導入。こちらでは文法よりも、もっと気軽に言葉に触れてほしいと、会話や聴解に重点を置いているようだ。
 教科書では父、母、祖父母、きょうだいが主語だが、より親しみを持ってもらうため、「ドラえもん」の仲間たちに登場してもらった。この国では1991年から放送が始まり、29年目を迎える、世代を超えた人気アニメとあって知らない人はいない。「これは誰ですか」「どんな人ですか」「何が好きですか」などの問い掛けに対して、生徒はのび太くんやしずかちゃんなどのキャラクターに「あかるい」とか「やさしい」などの形容詞をあてはめ、好きなものとして「どら焼き」や「読書」などの絵カードと組み合わせる。
 お手本(になっているかどうか?)として平仮名を発音する。口元をじっと目を凝らして見つめ、大声で、そして笑顔でまねする子どもたち。そんな姿を間近にしているとこっちも頑張らなきゃと、背筋がスッと伸びる気分だ。
 日本の伝統スポーツを紹介したこともある。相撲、柔道、剣道、空手道、合気道…。動画に興味が湧いた様子だったが、説明だけでは面白くないので、実際に体を動かして体感してもらった。
 まずは相撲の「四股」。下半身の強化だけでなく、大地を踏んで悪霊を払うという意味もあるという。男子は喜々として取り組んでくれた。柔道の「立礼」では、かかとを合わせてつま先を30度くらい開き、お辞儀。「日本では自己紹介の時などに頭を下げて礼をすることがあります」と説明した後、全員でゆっくり腰を曲げて頭を下げる練習をした。そして紙相撲。画用紙にお相撲さんを描いて切り抜き、「しこ名」も付けての対戦。トントン、トントンと紙の土俵をたたいては「オオッ」とか「ア〜」などと、笑い声と悲鳴が交錯した。
 キリスト教の教会と、イスラム教のモスクが仲良く同居する町。午前4時、大型スピーカーでイスラム教礼拝を呼び掛ける「アザーン」で起こされるなど、慣れない環境に戸惑うことも多かったが、高校生の元気いっぱいの姿が、61歳のいささかくたびれた体をしっかりと後押ししてくれている。(佐々川修二=マナド在住)

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