リポーター発

フランス

フランス・黄色ベストで思い訴え

2019/2/12
オルレアン市内で行われていたジレジョーヌのデモ

オルレアン市内で行われていたジレジョーヌのデモ

 フランス各地でジレジョーヌ(黄色いベスト)のデモが始まり、2カ月を超えた。先日、私が住んでいるオルレアン市内でもデモが行われていた。
 ジレジョーヌは蛍光色の黄色のベストで、フランスでは車の故障時に、高い視覚認識性を持ったこのベストを着用して修理することになっており、車載が義務付けられている。値段は約5ユーロ。カー用品店などで購入できる。安価で誰もが手に入れやすいため、デモ運動で使われるようになった。
 「黄色いベスト」運動は、ディーゼルやガソリンの燃料税引き上げに抗議するために始まった市民運動だ。フランスは土地が広いため、生活する上で車を必要とする人が多く、仕事で車を使っている人もたくさんいる。ただ、デモでは、そのことだけでなく、生活費の高騰や最低賃金の引き上げなども訴えている。
 ジレジョーヌのデモだというと、車に火を付けたり、店のショーウインドーを壊したりする激しいデモを想像するかもしれない。しかし、このデモに参加している人の多くは地方在住で、「燃料税の削減」「マクロン大統領の辞任」など、「貧しい生活をもっとよくしてほしい」という思いを持って加わっている。実際に、オルレアン市内のデモも、乱暴なことはしておらず、全員がそれぞれの思いを胸に参加していた。
 デモは土曜日にメインで行われており、その日によって場所も変わる。私が見た日はオルレアン市内の中心部で、デモ隊はメトロの線路の上などを歩いていた。一方、数週間前に行われたデモは、車の通行量が多く、大きなショッピングセンターにつながる郊外の車道だった。デモ隊が通行止めにしたことから、買い物に行く人など大勢に影響が出たようだ。
 デモが実施される場所や時間の予定は、決行日の数日前にインターネットや地方紙で情報が掲載される。それを見て、参加したい人は自由に参加しているようだ。
 私が見たデモは200人以上が参加。それぞれがジレジョーヌを着て、オルレアン市内の中心部を、ファンファーレを鳴らしながら一斉に歩いていた。そして、時々歩くのをやめては、みんなでフランス国歌「ラ・マルセイエーズ」を熱唱するなど、息がぴったり合っていた。また、大きな段ボールには「マクロン大統領、辞任せよ」など、各自の思いが記されたメッセージが書かれていた。
 デモに参加していた60代の夫婦に話を聞いたところ、「定年で退職し、年金で暮らしているけど、あまりに年金が少なくて生活が苦しい。貧富の差をなくしてほしい」と訴えていた。
 フランスはジレジョーヌに限らず、とにかくデモが多い。各地で頻繁にデモが開かれるため、フランス人もデモには慣れているようだ。自分の主張はしっかりと伝えるフランス人の気質のようにも感じる。そのためか、参加するのも日本と比べると敷居が低い。
 こちらに住んでいる実感として、ジレジョーヌのデモがいつ収束するのかはまだ見えない。(マリエ悦木嘉子=オルレアン在住)

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