リポーター発

アメリカ

【アメリカ】ザリガニの殻むきに苦戦

2019/5/1
トウモロコシ、ジャガイモとともにスパイシーにゆで上がったザリガニ

トウモロコシ、ジャガイモとともにスパイシーにゆで上がったザリガニ

 米国南部の郷土料理にケイジャンフードというものがある。18世紀にフランス系カナダ人がルイジアナに移住し、発展させた料理。フランス農村部の農家料理で、肉の代わりにメキシコ湾やバイユー(南部独特の地形。川のようなもの)から取れる魚介類を使って発展させたものだという。そしてケイジャンフードの代表格ともいわれるのが、たっぷりのスパイスでゆでたザリガニである。
 そのザリガニの旬である春がやってきた。3月にもなると「CRAWFISH」という文字をいろいろな所で見掛ける。レストラン、スーパー、移動販売車などなど。ザリガニが地元の人たちにどれだけ愛されているかが分かる。
 旬を逃すまいと、先日会社の同僚たちと食べに行ってきた。木曜日の午後5時だというのに大盛況。味付けは店によって違うらしく、私が行ったレストランでは、テキサスとニューオーリンズ、ベトナムのミックススタイルと言われた。よく分からなかったが、出てきたものは私が知っているものと同じだった。スパイスのパンチの効いた赤いザリガニたち。定番のトウモロコシとジャガイモとともに出された。
 実は、正直に言うとケイジャンフード、特にザリガニは苦手だ。ザリガニをゆでるときに出るあの独特のにおい。ザリガニの生臭さとスパイスの混じった、むあっとするにおい。そのにおいとスパイスの辛さで味も何だかよく分からない。
 そして、におい以上に煩わしいのが殻むき。殻がけっこう堅いのである。頑張ってむいても全長約10センチの1匹から取れる身は、小指の先っちょほど。全く「労働対価」に見合わない。今回も、2匹くらいしか食べられなかった。殻むきにもこつがあるらしい。地元の人は手慣れたもので、私が1匹と格闘している間に何匹も食べ終わっていた。
 日本でかに料理を食べに行くと、殻むきに集中してみんな黙ってしまうということがよくある。が、こちらではこんなにむくのが大変でも、誰も寡黙になることはなかった。他のテーブルも山盛りのザリガニを前に、みんなワイワイとビール片手に会話を楽しんでいた。そこが日本と違って面白いと感じた。
 日本で見掛けるのは「アメリカザリガニ」で、米国南部で食べられているのもまさしくその「アメリカザリガニ」である。しかし、そこら辺から拾ってきたものではなく、もちろん食用に養殖されたものである。
 ザリガニと言えば、自分が小学生の時に理科の授業で出てきたり、よく遊んだりしたことを思い出すが、まさか彼らを食べる日が来るとは思わなかった。納豆などにおいのある食べ物が好きで、辛いものが平気な人は楽しめるのかもしれない。これも大事な米国南部の文化。ぜひ機会があれば試してほしい。(文沢仁美=ヒューストン在住)

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