リポーター発

カンボジア

【カンボジア】庶民の台所 にぎわう市場

2019/8/26
生活に必要なあらゆる物が所狭しと並び、活気にあふれた市場

生活に必要なあらゆる物が所狭しと並び、活気にあふれた市場

 プノンペン国際空港のロビーから出た途端、湿気を帯びた生暖かい空気に身を包まれる。むっとした空気感が、長旅の疲れや時差で頭がぼおっとしていてもカンボジアに来たことをまず体感させてくれる。
 日本では「一年中暑い南国」と思われがちなカンボジアだが、暮らしてみると微妙な季節の変化があることに気付く。スコールが多い雨期と全く雨の降らない乾期という大きな季節の区切り以外にも、日本の初夏から真夏、初秋のように少しずつ暑さの度合いが変わっていく。
 日本が夏真っ盛りを迎えるこの時季、カンボジアは朝晩が涼しく過ごしやすい。夏休みにカンボジアを旅行する人は「南国を想像して来たら、あら日本より涼しいかも」と感じることがあるかもしれない。ここ最近、空には日本で秋に見られるようなうろこ雲をよく見掛ける。
 そうした季節の変化は、庶民の台所である市場に並ぶ品物にも見ることができる。特に、果物は季節によって売られているものが少しずつ違う。南国フルーツの代表格マンゴーやドリアンは、3、4月ごろが旬。最近では店頭であまり見掛けなくなってきた。ほぼ毎日市場に足を運ぶと、旬のものが何か、季節の変化とともに知ることができる。
 そんなカンボジアの市場には、魚や肉、野菜、果物、調味料から日用品まで、生活に必要な大概の物がそろっている。さらには麺類などの軽食や小腹を満たすスイーツの露店、コーヒーが香る路上カフェまで所狭しと並んでいる。大きな建物の中にある市場だけでなく、路上にパラソルが立ち並ぶ小さな市場も町ごとにたくさんある。
 多くの市場は、朝早くから昼すぎぐらいまで開いているが、昼にはもう売り切れて店じまいしている人気店もある。少数だが、同じ場所に夕方から別の売り主が店を構える場合もある。客は新鮮な食材を求めて、朝早くから市場へ行くため、朝の市場は多くの人でにぎわっている。
 ここ数年、電力が普及してきたが、まだ冷蔵庫のない家庭が大半ではないかと思われるカンボジアでは、市場はまさに市民の食料貯蔵庫。日本では、忙しい家庭はスーパーや宅配などでのまとめ買いが主流だが、カンボジアの人たちは毎日市場に行き、その日に食べる分だけ購入する。多くの食材を組み合わせて使う料理も多いため、買い忘れがあればその都度、市場へ出向く。購入した食材は、使い切るか、余った場合は干して日持ちさせる。太陽がさんさんと降り注ぐ国の、保存食の知恵なのだろう。
 ちなみに、市場にも冷蔵庫があるわけではないので、肉や魚も新鮮なものが並べられる。国の中央部にある東南アジア最大のトンレサップ湖で取れた淡水魚を食べるのが一般的だ。新鮮な魚たちが売り場から逃げて、路上でピチピチしているのをよく見掛ける。
 近年、経済成長が著しいカンボジアでは、大きなショッピングモールが次々とオープンしており、モールの中にあるスーパーで買い物をする人も増えている。また、食の安全に対する意識も高まりつつある。非政府組織(NGO)などが契約農家から直接買い入れた野菜や米を販売するオーガニックストアができ、少しずつ認知度が上がってきている。それでも、活気あふれるこの市場の風景は、しばらく変わることはないだろう。(鍵山彩=プノンペン在住)

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