リポーター発

アメリカ

【アメリカ】戦争・原爆 博物館で思う

2019/10/1
第2次世界大戦博物館での日本への空襲に関する展示

第2次世界大戦博物館での日本への空襲に関する展示

 8月6日、広島原爆の日。米国で平和記念式典の様子が報道されることはほとんどないが、私は決してその日を忘れることはない。広島出身者の私が、米国、特に保守派の多い南部に住んで経験したこと、感じたことを共有できたらと思う。
 初めて会う人に自己紹介をする時、日本から来たと言うと「日本のどこですか」とよく聞かれる。そして「広島」と答えると、なんとも言えない空気が流れ、会話が途絶えてしまうことがここ米国では何度もあった。欧州では、広島についていろいろ質問されたけれど…。やはり米国は原爆を投下した国。そこから話を展開するのが難しいのだろうか、それとも私が意識し過ぎなのだろうか。しかし、私自身も彼らと同じように、どう話を展開すればいいのか分からない。
 昨年、ルイジアナ州ニューオーリンズにある第2次世界大戦博物館に行った。米国視点による第2次世界大戦を知りたくて、ずっと行きたかった場所だ。
 第2次世界大戦は欧州やアジア各国で繰り広げられた。ドイツ・イタリア・日本による終わらない戦争と、多くの犠牲者。連合国として参加する米国と、この戦争を終わらせるための最終手段としての原爆。そして終戦。なるほど、米国の国民が原爆投下を肯定している理由がよく分かった。
 しかし、何より衝撃を受けたのは、戦争に対する自分の無知だった。第2次世界大戦についてざっくりとは知っていたが、詳しいのは原爆による広島の惨状についてだけ。これほどまでに多くの地域や人々を巻き込んだ戦争だったこと、原爆が落とされることになった理由を、なぜ自分は知らないのだろうか。なぜもっと知ろうとしなかったのだろうか。
 もちろん原爆を肯定する気はみじんもない。しかし自分の中で何か違和感が残ったことは確かだ。二度と同じ悲劇を繰り返さない、ということは広島出身者の共通の思いのはずだ。そのためにはどうすればいいか。もちろん惨状を伝えることも大切だが、それに至った経緯も併せて学ばなければならないのではないか。広島市が「平和都市広島」を掲げるのであれば、戦争についてもっと積極的に学ぶ機会、議論する場が必要だと感じた。
 最初の自己紹介の話に戻る。もし自分が自分なりの戦争に対する意見や知識を持っていたら、もっと堂々としていられるのではないだろうか。ましてや、もし広島が原爆の惨状だけでなく戦争の歴史に対して積極的な取り組みをしていることを世界中が認知できれば、世界の広島に対する認識も本当の意味での「平和都市広島」として捉えてもらえるのではないだろうか。
 昔以上に世界との距離が近い今だからこそ、もっと発信できる広島になればと願う。これも全て広島が大好きだからこそ感じること。広島出身者として、広島の良さを伝えられるよう私自身も頑張りたい。(文沢仁美=ヒューストン在住)

広島、長崎への原爆投下に関する展示

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