リポーター発

カンボジア

【カンボジア】農村生活で表情に輝き

2020/3/3
バナナの葉で皿を作るなどして遊ぶ子どもたち

バナナの葉で皿を作るなどして遊ぶ子どもたち

 世界遺産、郷土料理、美しい自然―。カンボジアを旅する目的は人それぞれ。観光やおいしいものを食べるのも旅の楽しみだが、カンボジアに来たらぜひ目を向けてほしいのが、人々の暮らしそのもの。特に、自然と共にある農村の暮らしは、都市での生活に慣れた私たちにとって、多くの気付きを与えてくれる。
 「カンボジアと一言で言っても、都市部と農村部では本当に世界が違うんです。もう国が違うんじゃないかと思うくらい」と話すのは、カンボジア好きが興じて現地で旅行会社を設立したナプラワークスの吉川舞さん(35)。カンボジア中部の都市コンポントムで、世界遺産「サンボー・プレイ・クック遺跡群」とその周辺の村を舞台に、地域に根付いた旅の提案をしている。そんな吉川さんとの約10年ぶりの再会をきっかけに、農村の魅力を発信したいという思いで意気投合。親子を対象とした農村滞在ツアーの企画が実現することとなった。
 初日は、カイコの栽培から全て手作業でシルクを作る「サントークシルクファーム」や、地元の女性たちが運営するコンポントム名物カシューナッツの加工工場を訪問。夜は、村長さん宅にホームステイした。
 2日目は、サンボー・プレイ・クック遺跡群を散策。昼食は、おいしい地鶏料理に舌鼓を打った。森の中でハンモックで休憩した後は籠網職人さんのお宅へ。夕方には、地元の高校の校庭で、村の生徒や先生たちとバドミントンやバスケットボールで汗を流した。
 最終日は、村のお母さんたちとカンボジアの伝統料理「アモック」作り。新鮮な雷魚をさばいたり、ココナツの実を削ってココナツミルクを作ったり、と全て手作りだ。バナナの葉と竹串で組み立てた皿に、半日かかって出来上がった料理を載せた。
 「親子旅」と題した今回のツアーには、広島から4組8人の親子、そして私と娘、吉川さん一家の計13人が参加。高床式住居での蚊帳張りや、かめの水をくんでの水浴びなど、カンボジアという異文化の中で、子どもにとっても大人にとっても人生の初体験がたくさんあった。
 また、遺跡の森で木登りをしたり、村の道を自転車で走ったり、満天の星の下で食事をしたり…。子どもたちは、朝から晩まで群れて身の回りにある土や砂、草木や花々、生き物と思う存分遊んでいた。
 村に流れる「フツウ」の時間にお邪魔した2泊3日。その経験は、誰かと一緒に過ごす楽しさや素晴らしさを見直す機会をも与えてくれた。自由に使える時間と空間。そこに仲間がいれば、子どもたちの心は大いに満たされる。
 便利で特別なモノはないけれど、すぐそこにある自然の恵みをちょっとずつ頂いて、自分自身の手で何でも生み出せるという、本来人間が生きていく上での当たり前を体験させてもらった。自然に寄り添った暮らしは、とてもシンプル。その中に身を置くことは、人もまた自然の一部であることを教えてくれる。
 数日後、吉川さんから送られてきた写真を見て驚いた。初日と旅を終えた後の参加者の表情がまるで違う。生き生きとした変化に、うれしいビフォー・アフターを見ることができた。カンボジアの「豊かさ」を感じる旅、あなたもぜひ。(鍵山彩=プノンペン在住)

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