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【グリーンカウベル(三次市)茨木栄治社長】もうかる農業で地域貢献

2020/3/9
茨木社長(右端)にインタビューする左から柄崎さん、亀山さん、市川さん、為石さん

茨木社長(右端)にインタビューする左から柄崎さん、亀山さん、市川さん、為石さん

 山あいに広がる33棟のビニールハウス群。グリーンカウベル(三次市甲奴町)は、広島県内で最大規模のホウレンソウ生産面積を誇る。農業を始めて6年。広島市や東広島市、庄原市などの学校給食や弁当、食堂といった業務用を中心に出荷するとともに、地域の農業を担おうとしている茨木栄治社長(34)に、事業への思いや起業のきっかけなどを聞いた。
(聞き手は、広島経済大・亀山冬二・為石夢実、広島国際大・柄崎晃槻、広島修道大・市川愛実)

 ―起業のきっかけは。
 祖父の代から酪農をしていたが、後を継ぎたくなくて高校卒業後、地元を離れた。旅行の添乗員として行った欧州では、それぞれの地域が個性的で輝いていた。ふと、地元の甲奴町でも価値ある発信ができればいろいろな人が来てくれるのでは、と考えて戻ってきた。
 最初は酪農を考えたが、畜舎や搾乳機など新たに導入すると2億円もかかる。じゃあ農業を、と約50品目で収支を試算。キャベツやコマツナなど5品目に絞った。1年に何回も収穫でき、失敗しても切り替えられるのと、ここを管内とするJA庄原エリアがもともとホウレンソウ産地だったのもあり、ホウレンソウにした。

 ―農業は重労働で低収入なイメージがありますが、本当ですか。
 作業効率は高くなっている。例えば、昨夏にホウレンソウの収穫機を導入し、ビニールハウス1棟の収穫作業が、10人で1日かかっていたのが3人で2〜3時間でできるようになった。
 うちのホウレンソウは、通常の3倍くらいに大きくして業務用に販売している。1年で平均6・5回作れ、10アール当たりの平均年収は500万円。もうかる農業のモデルができている。
 春から秋までは忙しいが冬は休める。1カ月間くらいスキーにも行ける。

 ―研修生も積極的に受け入れているそうですね。
 技術、経営の指導をする。2年以上かかるが、今春には研修生だった1人が甲奴町内で就農する。ホウレンソウ市場が飽和状態になるまでは、独立して管理者になれるだろう。
 もちろん、うちでも働ける。昨年春には三原市大和町にビニールハウス23棟の農場を開設したし、夏に向けて甲奴町の本社農場も15棟(55アール)増設する。

 ―今後の事業展開は。
 自社だけで急激に規模拡大すると、人材不足などで失敗する恐れがある。そのため、企業などとフランチャイズ制で技術などのノウハウを提供し、共同出荷していく。農産物の安全に関する国際規格のグローバルGAP(農業生産工程管理)も取得しているので、信頼も得やすい。牛ふんや鶏ふんから作った堆肥を使う循環型農業で生産コストも下げられる。
 PRには動画投稿サイト「ユーチューブ」を活用したい。農業の楽しさを発信し、求人も兼ねる。

 ―甲奴町の特産品「カーターピーナッツ」を生産している理由は何ですか。
 地域貢献。地元のため、地域の子どもたちのため、この甲奴町が誇れるものとして作っている。自分の町をPRできる品は、商談であちこち出向く際の最強のツールにもなる。1月に設立した、地域の農地12ヘクタールを預かる新子会社「ノーサイド」でも生産する予定にしている。

 ▽いばらき・えいじ 2005年3月大阪外語専門学校卒業後、オーストラリアへ。06〜12年添乗員派遣のTEI広島支店(広島市南区)勤務。12年11月に三次市甲奴町の実家にUターン。同町出身。

 ▽グリーンカウベル 本社は三次市甲奴町福田。2014年にホウレンソウ生産を始め、18年1月に法人化した。同年4月にグローバルGAP取得。本社農場(1.8ヘクタール)と大和農場(0.6ヘクタール)を持つ。資本金990万円。酪農の茨木牧場(三次市甲奴町)を合わせた19年12月期の売上高(補助金含む)は1億円。従業員25人。

【インタビューを終えて】
 広島経済大3年・亀山冬二(21)
 茨木社長が実践する農業の効率化や雇用を通して人材育成する姿勢は、大学で学ぶ経営学に合致しており、経営と農業の密接な関係を実感した。また、事業に人や組織を巻き入れる考え方にも共感した。私も価値観ややりたいことを明確化し、多くのことに挑戦したい。

 広島国際大2年・柄崎晃槻(20)
 エネルギーに満ちあふれるとともに、住んでいる町や社会問題に対してもいろいろな面から向き合っている視野の広い社長だと感じた。試行錯誤しながらも目標に向かっていく姿に、私もより多くの経験をし、志高く目標を持っていきたいとの思いを強くした。

 広島経済大2年・為石夢実(20)
 農家の高齢化や担い手不足、就農へのハードルの高さといった課題は依然立ちはだかっているが、農業がもうかる産業になりつつあることに驚いた。また、チャレンジ精神やリスク管理、地域貢献、スタッフの生活を豊かにする責任感など大切なことを学んだ。

 広島修道大1年・市川愛実(19)
 海外生活や旅行業など農業と無縁の生活だった茨木社長。「全く関係がないと思っていたことが、今の仕事や目標に生きている」という言葉に、さまざまな経験を重ねる大切さを知った。私も「一つも無駄なことはない」と言えるような学生生活を送りたい。

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