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【猫島商店(広島市西区)猫島栄伸社長】広島菜漬け 時代に合わせ

2020/2/17
猫島社長(右端)にインタビューする左から三垣さん、西岡さん、近藤さん、神津さん

猫島社長(右端)にインタビューする左から三垣さん、西岡さん、近藤さん、神津さん

 広島市安佐南区で19世紀末に京菜と観音寺白菜を交配して生まれたといわれる広島菜。その漬物は、野沢菜、高菜とともに日本三大菜漬けとされる。創業から91年を迎えた猫島商店(広島市西区)は「ねこしま」ブランドで広島菜漬けなどの漬物を製造販売する。猫島栄伸社長(47)に漬物や事業に込める思いを聞いた。(聞き手は、広島市立大・神津圭佑、三垣穂菜美、広島女学院大・西岡聖奈、広島工業大・近藤令奈)

 ―猫島商店で作る広島菜漬けの特徴は。
 広島菜が本来持っている、ピリッとした味とシャキシャキ感を生かして漬け込んでいる。また、2度漬け替えることで、強いあくを出し、風味を出やすくし、さらに、年中同じ味にするため、外気温に影響されないよう冷蔵庫の中で漬けている。
 塩分は2%で、昔の半分から3分の1くらいで、おいしいと思える限界濃度。漬物は塩分が高いイメージがあるが、実はそれほど高くない。食物繊維が多く、植物性乳酸菌も入った食品だ。
 ―長い経営の中で、苦労や困難はありましたか。
 戦時中は、漬物に欠かせない塩が手に入らなかった。そのため漬物業者で一つの組合をつくって、塩をもらう許可を得たと聞いている。また、昔は全て手作業。50キロのたるを抱えるなどかなりの重労働だった。
 ―漬物は、若い世代にはなじみが薄いと思うのですが、対策はありますか。
 学校の給食に使ってもらうようにした。安佐南区の川内小では、広島菜の栽培から漬け込みまで体験してもらっている。
 ―原料である広島菜の調達はスムーズですか。
 この2年は、天候に恵まれて50年ぶりの大豊作だった。しかし、農家の高齢化が進んでいる。特に、川内地区で種を作っていた農家の減少が心配だ。
 また、夏場は県外で作付けしてもらっているが、ここ2年収穫できていないのも課題。農家の高齢化と気温が高くなったのが要因で、今年は別の地域の農家にも依頼しようと考えている。
 ―最近、紙製の容器にしたと聞いたのですが、なぜですか。
 昨今の「脱プラスチック」の流れなどを踏まえ、昨年11月から一部の商品でやっている。冬の風物詩として従来のプラスチック製たるの方が雰囲気がある、という声もあるが、紙の方が捨てやすいという意見もある。思っていたより反応がいいので、今後も様子を見ながら紙製容器を増やしていきたい。
 ―新たな商品開発や展望を教えてください。
 今年、ピリ辛の麻辣(マーラー)風の広島菜漬けを発売する。広島菜を練り込んだうどんやレモンを使った商品も考えている。
 広島菜漬けは、広島独特の食文化。100年後も広島の人たちに食べてもらえるよう、伝統をつないでいきたい。
 ―今の大学生に何を求めますか。
 ものづくりの現場を見ること。机でパソコンを操作するだけでなく、生産・製造の流れを知ることを意識してほしい。

 ▽ねこしま・よしのぶ 1996年3月和光大経済学部卒業後、東京都内の食品卸会社に入社。2000年猫島商店入社。営業部長、常務を経て15年8月から現職。広島市安佐南区出身。

 ▽猫島商店 本社は広島市西区商工センター。1928年、広島県三川村(現広島市安佐南区中筋)で創業。49年に広島市加古町(現中区)に移転し、80年から現在地。2008年3月、広島菜漬けが「ザ・広島ブランド」認定。そごう広島店(中区)に直営店、島根県邑南町に工場を構える。資本金1千万円。従業員数46人。

【インタビューを終えて】
 広島市立大2年・神津圭佑(20)
 今まで知らなかった漬物業界の話を聞けた。戦争や広島菜の凶作など苦しいときがあったにもかかわらず、これまで継続しているのは社長をはじめ従業員の努力によるものだと思う。ボーリングやカープ観戦など職場が円滑に進むような取り組みにも感心した。

 広島市立大2年・三垣穂菜美(20)
 広島菜の生産現場の話から、少子高齢化や異常気象などの具体的な影響に気付かされた。また、生産から販売まで一連の流れを知る大切さを感じた。これから就職活動の時期を迎えるので、さまざまな現場を自分の目で見て学び、視野を広げたい。

 広島女学院大2年・西岡聖奈(20)
 企業訪問では営業職を主に見ていて、現場まで意識したことがなかった。生産がなければ販売にもつながらない。どのように作られているのか知ることでお客さんに自信を持って販売できる営業職があるのだと思った。就職活動のための企業研究の範囲が広がった。

 広島工業大2年・近藤令奈(20)
 小学校で広島菜漬けを手作り体験した時には気付かなかった広島の食文化や、広島菜漬けの魅力を再発見できた。広島の特産品として後世に残したいという猫島社長の強い気持ちも感じた。大学では食品について学んでいるので今回の話を生かし、学びを深めたい。

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