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【酒商山田(広島市南区)山田淳仁社長】日本の酒に特化 魅力発信

2020/1/20
山田社長(左端)にインタビューする右から小原さん、原さん、貴船さん、藤原さん

山田社長(左端)にインタビューする右から小原さん、原さん、貴船さん、藤原さん

 日本の酒の販売を専門にしている酒商山田(広島市南区)。国内の酒蔵、焼酎蔵、ワイナリー約390社と取引し、一般の消費者に加え、1700を超える全国の飲食店や酒販店に販売している。山田淳仁社長(61)に、日本の酒に込める思いを聞いた。(聞き手は、広島大・貴船桃佳、広島修道大・小原慧、藤原杏、広島市立大・原彰吾)

 ―どうして日本の酒に絞るようになったのですか。
 家業だった酒店を継いだのが31年前。酒販業界の規制緩和で販売競争が激しくなる逆風の中、どう差異化するか、と考えた結果が、ビールやたばこの販売をやめて、日本の酒に特化することだった。特に、小さい蔵の酒には、造り手の思いがこもっている。酒という「モノ」だけでなく、その思いや味わい、料理との相性、歴史など「コト」も含めて、酒の魅力を伝えてきた。
 ―現在の売上高に占める酒の種類の比率はどのようになっていますか。
 日本酒が69%、本格焼酎22%、国産ブドウを使った日本ワイン4%、梅酒などのリキュール4%、クラフトビール1%。いずれも日本の酒だ。
 ―日本酒を飲む若者が少なくなっていると聞きますが、危機感はありますか。
 1973年以降、日本酒の業界は衰退してきた。飲む人が減って、酒蔵が減って、売り場が減って…。生産量は、当時に比べると今は27%しかない。
 しかし、酒を売る者として、日本酒という日本文化の魅力は発信する価値が高いと思っている。そのためには、日本酒の売り場を増やす必要がある。
 ―具体的には、どのようにしているのですか。
 酒販店は家族経営が多いが、うちは2004年に法人組織にした。法人化することで、組織として社員に魅力を伝え、そこからさらに広げている。
 自社で販売するだけでなく、他の店のアドバイザー的な役割も担いつつある。実際に、異業種の企業とアドバイザリー契約を結び、昨年6月、大阪市中央区に酒の専門店をオープン。情報や商品を提供している。
 ―ホームページは多言語で見られるようになっています。外国人をターゲットにした動きはありますか。
 インバウンド(訪日外国人客)が多い八丁堀店(広島市中区)では、試飲した上で買えるようにしている。4月には英語で対応できるスタッフも配置する予定だ。
 輸出も視野に入れている。本年度、中小企業庁の「JAPANブランド育成支援事業」に選ばれ、ベトナムの市場調査をしている。輸出したいが規模が小さくて自社でできない蔵元をサポートしたい。
 ―事業展開に関するさまざまなアイデアは、どうやって生まれてくるのですか。
 各地で育まれた酒という日本文化を広島、全国に発信していくのは魅力的な仕事で、常に日本の酒のことを考えているとアイデアが降ってくる。「夢」に日付を入れると「ビジョン」になる。そうすると、具体的になって実現できていく。
 夢があると大変なことも乗り越えられる。皆さんも夢をたくさん持って、実現させてください。

 ▽やまだ・じゅんじ 1982年3月、青山学院大経営学部卒業後、安田火災海上保険(現損保ジャパン)に入社。89年に家業のヤマダ酒店を継承。2004年の法人化とともに専務、05年から現職。19年に県立広島大大学院経営管理研究科修了。広島市南区出身。

 ▽酒商山田 本社は広島市南区宇品海岸2丁目。1931年創業、2004年法人化。12年中国地域ニュービジネス協議会特別賞受賞、17年に経済産業省の地域未来牽引(けんいん)企業に選定された。店舗は、本社併設の宇品本店のほか、幟町店(中区)、八丁堀店(同)、エディオン蔦屋家電店(南区)、山カフェ(中区)。19年3月期の売上高10億5600万円。従業員数34人。

【インタビューを終えて】
 広島大3年・貴船桃佳(22) 自らの理想像を「日本の酒の伝道師」とする山田社長。「日本の酒の魅力を日本、そして世界に」と日本の酒が身近にある生活を提供しようと尽力している姿が印象的だった。若い人でも気兼ねなく立ち寄れるお店もあるそうなので、今度ふらりと行ってみたい。

 広島修道大3年・小原慧(22)
 蔵元やワイナリーと顧客とをつなぐ山田社長の誇りと責任を、話の節々から感じ取ることができた。好きなことを仕事にし、誰よりも情熱を持って日本の酒の魅力を広めようと信念を貫いている姿を忘れず、私も今後の就職活動に生かしていきたい。

 広島市立大2年・原彰吾(20)
 戦略や機会も大切だが、産業の発展やこれからの日本を見据え、その中で社業を続ける信念が経営者には求められると思う。逆境に飛び込む勇気、理想を実現するための惜しまぬ努力があるから人は付いてくる。それを実現している山田社長にとても感銘を受けた。

 広島修道大1年・藤原杏(19)
 日本の酒の魅力を信じ、発信していこうとする山田社長の姿勢。しかもただ売るのではなく、酒にまつわる「コト」を伝え、アドバイスできるのは、これまで誠心誠意でお客に接してきたからなのだと感じた。私も心から熱中できることを模索していこうと思う。

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