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【川中醤油(広島市安佐南区)川中康三社長】新商品 自社の味守りつつ

2019/12/16
川中社長(左端)にインタビューする右から小西さん、高田さん、川元さん、丸さん

川中社長(左端)にインタビューする右から小西さん、高田さん、川元さん、丸さん

 しょうゆ会社の数が57と、福岡県に次いで2番目に多い広島県。創業113年を迎えた川中醤油(しょうゆ)(広島市安佐南区)は、自社の味を守りつつ、中国地方で初のだししょうゆを発売して定着させたり、新商品を積極的に開発したりしている。4代目となる川中康三社長(41)に、社業への思いや、学生へのメッセージを聞いた。
(聞き手は、安田女子大・小西望、県立広島大・川元愛恋、広島文化学園大・高田真希、広島市立大・丸照正)

 ―日本の食卓で、しょうゆはどのような存在ですか。
 メインにはなれないが、引き立て役として食卓を豊かにする。毎日使うもので、しょうゆの味が、その家の味になっている。
 ―広島県にしょうゆ会社が多いのはなぜですか。
 しょうゆを造るには、大豆や小麦、塩、水が必要。特に塩を使うため、設備の劣化が激しく、設備に費用がかかり、全国ではどんどん廃業が進んでいる。
 広島県では1973年に70社が出資して組合を設立。共同で醸造して生じょうゆを造るようにした。そこから先は、各社がそれぞれの味に調合して製品にするので、各社とも負担が減るとともに、地域の特性に合わせた特徴あるしょうゆ造りが続いている。
 ―川中醤油の特徴は何ですか。
 うちは、関東よりは甘いが、砂糖のような甘さはない。かつてはつくだ煮メーカーや弁当店など業務用の販売が主だったが、父の敬三社長(現会長)が85年、しょうゆと昆布、かつお節を合わせた「芳醇(ほうじゅん)天然かけ醤油」を開発。市販を始めた。中国地方で初のだししょうゆで、最初は同業者からばかにされたが、今では年間3億円を売り上げる主力商品になった。
 スーパーではしょうゆは特売商品になりがち。だが、弊社は価格を崩さない売り方をしてきた。価格競争に巻き込まれると品質を変えないといけなくなるからだ。たとえ利益率が下がっても、味と品質は変えたくない。
 ―新商品もたくさんありますね。どうやって開発するのですか。
 社内に開発担当が4人いるのに加え、社員からの提案も受け入れる。本社に隣接する直営店「醤(ひしお)の館」では、お客さんの声をじかに聞けて参考にできる。
 大手のまねをする気は全くなく、うちしかできないことをしたい。市立広島商業高(東区)の生徒と共同開発した商品「とろ〜り梅しょうゆ」は、コンビニエンスストアのポプラ(安佐北区)が使ってくれて、「梅しょうゆおむすび」として11月下旬に発売した。
 ―学生へのメッセージをお願いします。
 いっぱい失敗してほしい。たくさんチャレンジして、失敗を重ねないと成功はありえない。私自身「進取果敢」を座右の銘にしている。自ら強い志を持ってやらないといけない。
 実は、アイスクリームやヨーグルトにかけるしょうゆを開発したことがあるが、売れなかった。しかしここから、黒糖としょうゆを使ったシロップ「みたらしろっぷ」が生まれた。川中らしい品かな、と思っている。

 ▽かわなか・こうそう 2001年3月に東京農業大農業学部卒業後、福山醸造(札幌市東区)に入社。03年に川中醤油に入社し17年4月から現職。広島市安佐南区出身。

 ▽川中醤油 本社は広島市安佐南区伴中央。1906年9月に創業し、69年に法人化。アストラムライン建設に伴い、90年に隣接する現在地に本社と工場を新築移転した。2000年10月に直営店「醤の館」オープン。08年に「採れたて生搾りゆずぽん酢しょうゆ」、12年に「芳醇天然かけ醤油」が、ザ・広島ブランド認定を受けた。資本金2460万円。19年3月期の売上高は8億3300万円。従業員数45人。

【インタビューを終えて】
 県立広島大4年・川元愛恋(23)
 研究熱心で出張のたびにいろいろなしょうゆを買い集めていた父の背を見ながら育った川中社長。熱い心は引き継がれている。変わらない味を守りつつ、時代に合わせて新商品開発や世界の舞台に挑戦し続けて110年余り。長い歴史はまだまだ続きそうだ。

 安田女子大4年・小西望(22)
 伝統を変えない川中社長の強い意志と、社員一丸となって新しいものを作ろうとする職人魂に感銘を受けた。何事も失敗を恐れずに挑戦できる社長のような社会人を目指したい。これからも広島が誇る川中醤油の味を守ってほしいと強く思った。

 広島文化学園大2年・高田真希(22)
 変わらぬ味であることと、地元の学生やサンフレッチェ広島とコラボするなどの地域貢献が、長年愛されている秘策だと思った。また、ソフトやプリンなどを販売していると聞いて驚いた。伝統を大切にする姿勢も、挑戦する姿勢も手本にしたい。

 広島市立大2年・丸照正(20)
 「世界一の調味料」と表現するほど、しょうゆへの熱い思いを持っている川中社長。物事に熱中する大切さ、受け継いだものを守り抜く大切さを教えてもらった。あっという間にインタビューの時間が過ぎていき、とても楽しく実りの多い経験ができた。

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