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【鮮コーポレーション(庄原市)社長 西田昌史さん】 回転寿司 鮮度に思い入れ

2020/5/20
西田社長(左端)に取材する右から近藤さん、藤原さん、清水さん、高田さん

西田社長(左端)に取材する右から近藤さん、藤原さん、清水さん、高田さん

 中国山地での鮮魚店からスタートし、広島県内で有数の回転寿司(ずし)チェーン店を展開するようになった鮮コーポレーション(庄原市)。西田昌史社長(67)に、事業への思いや学生へのメッセージを聞いた。(聞き手は、広島修道大・清水仁裕、藤原杏、広島文化学園大・高田真希、広島工業大・近藤令奈)

 ―鮮魚店から回転寿司店に事業を展開していったのはなぜですか。
 おやじが鮮魚店を始めたのですが、子どもの頃は興味がありませんでした。長男なので家業を継がないといけなくて。同級生は広島や東京の大学に行き、帰省して会うと言葉遣いが変わっているし、戻っていったときには取り残された寂しさがありました。「ああ、自分は小さい魚屋のおやじで終わるのかあ」と先が見えなくて苦しかったです。
 転機は27歳の時。おやじが地元のショッピングセンターに鮮魚店を出しました。最初は全然売れなかったのが、工夫を重ねることで少しずつ売れるようになり、商売が面白くなったのです。しかし、鮮魚店ではスーパーには勝てない、と模索しているうちに出合ったのが回転寿司でした。

 ―店の特徴は。
 「炊きたて、切りたて、握りたて」です。出来たてが一番おいしいと信じているので、できる限り店内で調理しています。

 ―鮮度を大切にしているのですか。
 もちろん。昔は広島県北の店頭には新鮮な魚がなく、アンモニア成分を多く含み長持ちするワニ(サメ)の刺し身がごちそうでした。刺し身で食べられる魚種が限られたからこそ鮮度に価値があると思うようになりました。

 ―1皿100円の店が多い中、価格を変えない理由は。
 いろんな選択ができるのが豊かな社会。100円の寿司を食べたいときもあれば、少々お金を払ってもいい物を食べたいときもあるはずです。

 ―漁業者の高齢化が進み、人数も減っています。対策は。
 安く買いたたくのが、いい商売ではありません。ちゃんとした値段で買うことで、漁業者の所得も上がります。例えば年収1千万円あれば、漁業に携わろうとする人も増えるのではないでしょうか。
 市場では「きょうは何がいい?」と聞くようにしています。安い物より、おいしい物を仕入れることが大切。少し高くなってもおいしい物を食べてほしい。お客さまも値段ばかりにこだわってはいません。

 ―新型コロナウイルスの影響は。
 4月18日から鮮魚販売の「新鮮市場」を除いて全店を休業し、5月12日に再開しました。20〜30代の頃だったらノイローゼ状態になっていたかもしれませんが、成長したのかな、今は前を向いていられます。社員も頑張ってくれているし、大変なのは、うちだけではない。後ろや下を向いても仕方ありません。

 ―学生へのメッセージをお願いします。
 誰もが行きたがる道ではなく、人が行きたがらない道にこそ果実はあります。周囲に流されず、自分を信じて前に進めば、必ず道は開けます。人生は甘くないかもしれませんが、驚くほど簡単に開けるときがあるのです。

 ▽にしだ・まさし 1971年3月三次高卒業。同年4月、西田鮮魚店に入る。84年4月の法人化とともに現職。庄原市出身。

 ▽鮮コーポレーション 本社は庄原市西本町。1949年創業、84年法人化。店舗は、広島県内に回転寿司「すし辰」6店と「すし鮮」2店、焼き肉「カルビ屋大福」2店、和食「鄙(ひな)の料亭 地御前」「西田鮮魚店 新鮮市場」の計12店。資本金1千万円。2019年3月期の売上高は28億円。パート、アルバイト含む従業員は約470人。

【インタビューを終えて】
 広島修道大4年・清水仁裕(21)
 西田社長の「人がやらない、損することも買って出る」という言葉に最も感動した。自分のやりたいことに対して、意志を曲げずに追求するのはもちろん大切だが、まずは与えられた状況で限界までやりきることを目標に、まい進したいと考えた。

 広島工業大3年・近藤令奈(20)
 魚を仕入れる際、「値切るのではなく、価値に見合う値段で仕入れることで漁業者やお客さんに喜ばれる商売がしたい」という西田社長の気持ちが伝わってきた。私もこれから、何をして人を喜ばせたいのかを見つけ、就職活動に生かしていきたい。

 広島文化学園大3年・高田真希(23)
 「すし鮮」で約3年間アルバイトをしていて、おいしい物をお客さんに食べてもらいたい、という熱い思いを感じている。それは、西田社長が信念を持って、大切にしてきた考えが、社員にもパート、アルバイトにも伝わっているからだと分かった。

 広島修道大2年・藤原杏(19)
 置かれた環境のせいで今が楽しくないと思うのではなく、自分が変わろうとすれば環境が変わり、見える世界が違ってくることを教えてもらった。私も自分の得意な分野を確認しつつ、たとえ理不尽に感じる環境でも自分の力を信じて発揮できるようにしたい。

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