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【シンギ(広島市中区)社長 田中友啓さん】食品の容器 環境に配慮

2020/8/19
田中社長(左端)に取材する右から丹下さん、江刺さん、貴船さん

田中社長(左端)に取材する右から丹下さん、江刺さん、貴船さん

 スイーツや駅弁、テークアウト商品など食品パッケージ商社で地場トップのシンギ(広島市中区)。製造も手掛ける。創業から88年。4代目の田中友啓社長(49)に、事業への思いや展望を聞いた。
(聞き手は、広島大・貴船桃佳、広島修道大・江刺かな子、丹下佳乃)

 ―どのような容器を作っていますか。
 スポーツのスタジアムやテーマパークでの飲食品、駅弁やスイーツなどの食品に関するパッケージで、20万点以上の品ぞろえがあり、きっと皆さんも手にしたことがあると思います。駅弁は旅情が出るよう、スイーツは中身が映えるようなデザインに。スタジアムやテーマパークは会場との一体感が出せるよう工夫しています。

 ―環境に配慮した商品の販売はいつ頃からやっていますか。
 15年ほど前です。環境面で進んでいる欧米のパッケージ展示会に毎年行き、いち早く日本での販売総代理店になってきました。現在、販売額はプラスチック製と紙製が半々くらい。環境への意識が高まって需要が増えることで、環境に配慮したエコ商品の単価が下がり、使われやすくなりつつあります。

 ―新型コロナウイルスの影響はありますか。
 数々のイベントが中止になり、テーマパークも休業。人に会わないのでギフト需要が減るなど、かなりの影響がありました。
 だからといって何もしないのではない。コロナ対策商品として、フェースシールドやテークアウト用の容器を開発、販売しました。さらに、業種を超えて協力しようと各社の弁当をドライブスルーで販売するイベントを実施し、タクシー業者による宅配もしました。
 今は、カフェやレストランを紹介する本を作ろうと準備を進めています。アルバイトで収入が減った地元の大学生らにもモデルとして参加してもらいます。

 ―新たな取り組みを始めるのは大変ではないですか。
 何事も楽しみながら挑戦し、ポジティブになることが大切です。そして、できるだけ社内外ともオープンに人と接するようにしています。それが、社名にもなっている「信義」にもつながると思っています。

 ―社員に共通する特徴はありますか。
 採用する時には「食」に興味がある人をイメージしています。就職活動中の学生には、会社訪問時にできるだけ多くの社員と話してもらうようにし、社員は学生からの質問に正直に答えるようにしてミスマッチを防いでいます。そのせいか、毎年5、6人を採用しているのですが、この10年間で離職率は2%にとどまっています。
 社内では約3年前からメールでなくチャットシステムでやりとりしています。アドレスを入れる必要がないなど社内の伝達スピードがアップ。交流も簡単にできるようになり、社内の風通しもよくなりました。

 ―学生へのメッセージをお願いします。
 何でもいいので、一生懸命に打ち込んでほしい。すぐに生かされることはないかもしれませんが、やっていてよかった、と思える時が来るでしょう。

 ▽たなか・ともひろ 1993年3月に明治学院大法学部卒業後、米アリゾナ州立大に編入。95年12月同大卒。96年4月第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。2003年3月同銀行退職後、シンギ入社。大阪支店長、取締役管理本部長などを経て14年6月から現職。広島市中区出身。

 ▽シンギ 本社は広島市中区南吉島。1932年5月に大阪で信義商会を創業したが44年、工場閉鎖。47年親族の残る広島市昭和町で事業再開。52年6月に法人化した。東京や仙台など15カ所の営業拠点と3カ所の商品センターがある。2018年日本生産性本部の「経営革新推進賞」に選ばれた。20年5月期の売上高は186億円。従業員206人。

【インタビューを終えて】
広島大4年・貴船桃佳(23)
 新型コロナウイルスの感染拡大前からオンラインのチャット機能を導入するなど、常に新しい技術に目を向けてきた田中社長。だからこそ、今回のような事態に直面しても、カフェの応援プロジェクトなど新たなアイデアを迅速に生み出せるのだと思った。今回の取材以降、これまで意識することの少なかったテークアウト用のパスタやスイーツの容器などに思わず目が向くようになった。

広島修道大3年・江刺かな子(21)
 田中社長が仕事を楽しんでいるのがよく伝わってきた。誰に対してもオープンに接する姿が、風通しのよい社風につながり、よりよいものを作れる環境につながっているのだろう。私も今を大切に、何事にも一生懸命取り組んでいきたいと思った。また、容器会社として環境問題にも早くから取り組んでいて驚いた。自分たちも環境問題についてよく知り、考えていかなければならないと感じた。

広島修道大3年・丹下佳乃(20)
 何事も楽しみながらポジティブに取り組む姿勢に感銘を受けた。新型コロナ禍では、特に必要な姿勢である。私は最近「新型コロナでサークル活動ができなくてどうすればいいか分からない」と嘆いていた。しかし、田中社長のように、現状を逆手に取って考えると、より生き生きとした活動をすることができるかもしれない。したいことができなくなったと悲観せず、今をチャンスにしたい。

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