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【バルコム(広島市安佐南区)会長兼社長 山坂哲郎さん】車から多角化 さらに挑戦

2020/11/18
山坂さん(右端)に取材する左から浜田さん、藤原さん、三反田さん、市川さん

山坂さん(右端)に取材する左から浜田さん、藤原さん、三反田さん、市川さん

 BMWやハーレーダビッドソンなど、海外高級メーカーの自動車や二輪車を販売するバルコム(広島市安佐南区)。不動産や飲食、宿泊などの事業にも進出し、経営の多角化を図ってきた。山坂哲郎・会長兼社長(65)に、事業への思いや学生へのアドバイスを聞いた。
(聞き手は、県立広島大・三反田夏歩、広島修道大・藤原杏、市川愛実、広島大・浜田航輝)

 ―大学卒業後の就職先はどのように決めましたか。
 教員になる選択肢もあったが、一生分の給料を計算できるより、頑張ったらどこまで得られるか分からない方が面白いと思った。父はバルコムヒロシマモータース(現バルコム)の創業者だったので跡を継ごうと。そこで車のセールスについて勉強できると考え、広島マツダに就職した。当時、社会人野球チームがあったのも理由の一つだ。
 入社3年目で、直販では営業成績トップになった。野球の練習のために人より早く仕事を終えていたが、それでもトップになれた。なぜかと考えたが、諦めるのが人より遅かったのだろうと思う。
 25歳で父の会社に入社し、当時の社員は20人。売り上げ台帳は大学ノートに走り書きしており、顧客台帳もなかった。広島マツダで学んだノウハウを生かし、帳簿類を作った。

 ―32歳で社長に就きました。大変だった時期は。
 バブル期が一番苦しかった。それまで出していた利益以上に金利がどんどん上がっていった。「頑張ったら成功できる。頑張ったら勝てる」という考えだったが、そのときは自分の頑張りとは違う要素で人生が変わるかもしれない怖さを味わった。
 生きているのが怖いと感じる日々が1カ月ほど続いた。そんなとき、社員の1人が、黒字化できていなかったグループ会社に「行きましょうか」と言ってくれた。営業力のある彼が行ってくれれば、ほかをどう動かせば利益が出るのか―。そう考えるようスイッチが切り替わった。後ろを向いていた考え方が変わり、小さな道がうっすらと見え始めた。バブルという怪物と、自分は勝負して勝つんだと思えるようになった。

 ―他社に負けない強みは何ですか。
 目標をやりきる力が強いこと。「これをやるのは難しい」というのは「できない」ではない。時間をかけたり工夫したりすればできるということだ。
 社訓は「限りなくベストに近いベター」。簡単にベストになれると思わない方がいい。目標に近づいたと思っても、拡大鏡で見たらまだ間が残っている。だからまた、そこに向かって挑戦する。

 ―今後の目標は。
 売り上げ1千億円。車の販売だけでは限度があるし、既存の事業で利益を倍にしようとは思っていない。ITや人工知能(AI)など時代に合った事業の展開を考えている。
 新型コロナウイルスの感染拡大で、特に飲食業には大きな影響が出た。車の販売にしても、今後はショールームに来て車を買う時代ではなくなるかもしれない。これまでの形態ではなく、新しいビジネスモデルをつくろうと模索している。
 いろいろな事業を展開してきて、失敗したこともある。人にだまされたこともあった。でも1回しかない人生だから挑戦し続けたい。

 ―学生へのアドバイスをお願いします。
 大学生は時間が自由に使えるとき。アルバイトでも勉強でも何でもいいから有意義に取り組んでほしい。一生に命を懸ける「一生懸命」ではなく、一つのところに、その瞬間その瞬間に命を懸ける「一処懸命」。そういう思いで取り組んでほしい。

 ▽やまさか・てつろう 1977年、広島大教育学部卒。広島商高と同大で硬式野球部キャプテンを務めた。同年、広島マツダに入社。80年3月同社退職後、父が創業したバルコムヒロシマモータース(現バルコム)に入社。87年12月、社長に就任した。2020年1月から会長を兼務。広島市南区出身。

 ▽バルコム 本社は広島市安佐南区。バルコムヒロシマモータースとして、1967年創業。グループ会社で、自動車や二輪車のディーラーのほか、レンタカー、不動産、流通、飲食、旅行、情報提供サービスなどの事業を展開している。2019年12月期のグループ売上高は405億円。グループ従業員数976人。

▽インタビューを終えて

県立広島大1年・三反田夏歩(19)
 一番印象に残ったのが「1回しかない人生、挑戦し続けたい」という言葉だ。新型コロナウイルスの影響で赤字が出ても、チャンスに変えていこうという姿勢に勇気をもらった。私も、大学に入学してから登校することができなかったが、今しかできないことに挑戦し、自分の強みに変えたいと思った。

広島修道大2年・藤原杏(19)
 「目標を決めたら絶対にやり遂げてみせる」という強い思いが、学生時代の野球部のころから山坂さんを突き動かしているのだと思う。どんな困難にも全力で打ち込む姿勢は「青春」そのままのように感じられた。取材を終え、私自身も悩んでいた夢の実現に向けてスタートを切ることができた。

広島修道大2年・市川愛実(20)
 「頑張れば勝てる。努力すれば成功できる」というのは、みんな思うことだが貫くことが難しい。信念として持ち、実現している山坂さんの強い思いを感じた。取材の合間に私の夢を聞かれ「努力すれば必ずかなうから諦めるな」という言葉をもらった。山坂さんの強さに背中を押されたような気がする。

広島大2年・浜田航輝(21)
 「『困難なこと』は、『できないこと』ではない」。この言葉に感銘を受けた。多くの人が難しいと諦めてしまうことでも、決して諦めずに取り組むことで成功し、その体験が次の困難に立ち向かうモチベーションとなっていくのだと思う。自分も決して諦めない心を持って、困難と闘っていきたい。

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